次のコンサートのご案内 12月15日(日)Seiko×Seiko ヴァイオリンとピアノによるデュオコンサート

2024年8月31日 自然と音楽と妻への愛 ~バルトーク「戸外にて」

のろのろ台風に日本中が振り回されていますが
皆さんご無事にお過ごしでしょうか?
大阪はこれから雨風が強まってきそうです。

この週末は私の知人のコンサートもいくつか中止になっていて
主催者や出演者
それらのコンサートを楽しみされていた方々のことを思うと
心が痛みます。

私は運よく台風が日本に近づいてくる前の
この間の日曜日に
久保惣記念美術館でのミュージアムコンサートを
無事終えることができました。

展覧会の最終日に当たっていたこともあってか
たくさんの方にご来場いただきました。
遠くから駆けつけてくださった
友人、知人もいました。

天候にも恵まれ
たくさんの方々に聴いていただき
感謝の念に堪えません。
ありがとうございました。

4週間後はほぼ同じプログラムで
豊中文化芸術センター小ホールでのリサイタルです。

先日のコンサートでは
バルトークの5曲からできている「戸外にて」のうち
3曲のみを弾きましたが
豊中のリサイタルでは5曲全曲演奏します。

バルトーク自身は5曲全曲を
通して演奏することはなかったそうなんですが(笑)

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 自然と人間の営みのを描写した「戸外にて」
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今回のリサイタルのテーマは
「自然」です。
古今東西人間は自然の中で生き自然を愛でてきました。
そして芸術家たちは自然から霊感を受け
音楽、絵画、詩歌、文学など、様々な形態や表現方法で作品を生み出してきました。

バルトークは特に
教養と知性においてずばぬけて「現代的」な芸術家でありながら
自然の根源のずっと近くで生きていた人で
犬並みに自然の音が聞こえたそう。
森の中で迷っていた飼い猫の鳴き声を
森の外から聞き分けて
見つけ出したこともあるそうです。

そんなバルトークが自然や自然とかかわる人間の営みから
インスピレーションを得て作曲した
5曲セットの「戸外にて」
それぞれの曲が、異なる風景や情景を鮮やかに描写しています。

バルトーク自身は5曲全曲を
通して演奏することはなかったそうなんですが(笑)

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 「戸外にて」5曲の紹介
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第1曲 太鼓と笛で
もともと私はバルトークの
血湧き肉躍るようなリズム感に支配された曲が好きなのですが
この曲の太鼓を模した野性的なリズムに
まさに血沸き肉躍ります!
なめらかな笛のメロディとの対比が面白い曲です。

第2曲 舟歌
静かで揺れ動くような音型が
波に揺られる舟を連想させます。
時々水しぶきがはねる様子も聞こえてきます。

第3曲 ミュゼット
ミュゼットとは小型のバグパイプの1種で
その音響を模倣している曲です。
結構奇妙な曲です(笑)

第4曲 「夜の音楽」
この曲集の白眉。名曲です。
夜の森の静寂の中から
ふくろうやカエルや昆虫の鳴き声に交じって
遠くから人間の奏でる民謡の旋律が聞こえてきます。
でもそれだけではなく
それらを宇宙が大きく包み込んでいるような
人間も鳥も動物も蛙も虫も
生きとし生けるものが
宇宙と自然の中で一体となっているような感覚を
体験できる曲です。
偉大な音楽評論家、吉田秀和氏も
「私の好きな曲」というエッセイでこの曲を取りあげていて
「宇宙的根源的な生命とそれを育む大自然のひそかな呼吸」
が感じられると書かれています。
「芸術と自然の両方の根源にあるところの
ある宇宙的な存在に触れている」とも。
さすが文筆家の語彙の選び方は違いますね。
この表現を読んだとき「まさにそれ!」と思いました。

第5曲 狩り
緊張感と活力に満ちた音楽で
狩りのスリルや力強さを表現しています。
昔幼児の前でこの曲を弾いたら
怖かったみたいで大泣きされました(苦笑)

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 バルトークの妻への愛
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前々回のメルマガで
バルトークは結婚歴が2回あり
2回ともお相手は若い自分の生徒だったと書きましたが

バルトークがロ○○ンというのではなく
女性の方が若くても成熟した精神の持ち主だったのだと
私は思ってます。

とくに2回目に結婚したディッタは
とても優秀なピアニストでした。
23歳差の年の差婚だったため
バルトークは自分が死んだ後も
彼女が演奏して生きていけるようにと

女性の手の大きさでも演奏できる
ピアノ協奏曲第3番をディッタのために書きました。

今回演奏する「戸外にて」もそうですが
バルトークのピアノ曲には
9度や10度がバンバン出てくるので
小さくはないけど決して大きくもない私の手では
かなり演奏が厳しいところもあります。

でもピアノ協奏曲第3番は無理なく弾けます。
彼女への愛が詰まった曲なんですが
もう一曲ディッタに捧げられているのが
この「戸外にて」の「夜の音楽」です。

この素晴らしい曲の最後に
「ディッタ」と書かれていることに
バルトークが彼女を
妻として、女性として、
ピアニストとして、
そして自分の芸術の理解者として、
彼女を愛し尊敬していたことを感じて
さらにこの曲への思いが増してしまいます。

自然と妻への愛が込められた
バルトークの「戸外にて」を聴きに
ぜひ9/27に豊中市立文化芸術センター小ホールにお越しください!

コンサートホールでこの素晴らしい音楽を
皆様と共有できますことを
心より楽しみにしています。

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9月のスケジュール
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9/12(木)大阪クラシック 第45公演 大同生命大阪本社ビル
チェロ:石田聖子 ピアノ:宮本聖子
ブラームス/チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 作品38 無料公演
https://osaka-classic.jp/schedule/

9/27(金)宮本聖子ピアノリサイタル 〜ベートーヴェンとともに Vol.5 〜
https://seikomiyamoto.com/concert240927/
チケット絶賛発売中!!

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最後までお読みいただきありがとうございました。
暑さと台風に気をつけて
安全にお過ごしください。

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